回数券廃止はなぜ?脱毛サロンは都度払いがトレンド、前受金に広まる懸念は解消できるのか

回数券廃止はなぜ?脱毛サロンが都度払いを選択する理由

近年、医療脱毛・脱毛サロン業界では「都度払い」が強く注目されるようになっています。その背景にあるのが、脱毛業界で相次いだ大手サロンの倒産・破産です。2023年以降に倒産・破産をした大手脱毛サロンには、ミュゼプラチナム(2025年6月2日)、ビー・エスコート(2024年11月 )、銀座カラー(2023年12月)、シースリー(2023年9月)が挙げられます。
倒産・破産に至った理由は各社で異なりますが、その一因として指摘されているのが、前受金を前提とした集客モデルです。大幅な割引を打ち出した回数券や長期コースで前受金を集め、その資金を広告宣伝費や運営費に投下する手法は、短期的には集客効果がある一方で、集客コストが膨らみすぎると資金繰りを悪化させます。
大手脱毛サロンが倒産・破産した背景から、「前受金はリスクが高い」「回数券は扱うべきではない」という風潮が生まれ、都度払いが“安心・安全な選択肢”として注目されるようになりました。
しかし、前受金そのものが問題なのではありません。 前受金は、使い方を誤れば事業のリスクになりますが、適切に管理すれば有効な資金調達手段にもなります。

回数券(前受金)のリスクとは

回数券やコース契約で受け取る前受金は、一定の事業者にとってリスクがある事は事実です。前受金は会計上、まだ提供していないサービスの対価であり、自由に使える“利益”ではありません。もしも、この前受金を運転資金として使い込み、将来の施術原価や人件費、設備投資を賄えなくなれば、事業は行き詰まります。前受金を利益と誤認し、適切な管理ができなければ、倒産リスクを高めてしまうのです。
一方で、だからといって前受金そのものが「悪」ではありません。問題は前受金の有無ではなく、その扱い方にあります。

新規開業・個人サロンにとって前受金が持つ意味

特に、新規開業の医療脱毛クリニックや個人サロンにとって、前受金は非常に重要な意味を持ちます。開業初期は、広告宣伝費、機器のリース料、家賃、人件費など、先行して発生するコストが多く、資金繰りが最大の課題となります。このタイミングで回数券や分割払いによる前受金を確保できれば、安定した運営資金となり、無理のない事業計画を立てることができます。さらに、回数券は顧客との中長期的な関係を築きやすく、リピート率の向上や囲い込みにもつながります。
つまり前受金は、適切に管理・運用できる体制があれば、事業成長を支える大きな武器にもなり得るのです。

都度払いと回数券は「対立」ではなく「役割分担」

都度払いと回数券は対立するものではありません。それぞれに向いている顧客層、利用シーンがあります。
都度払いは、医療脱毛を初めて受ける方におすすめです。高額なコース契約を交わさず、「施術が合わなければ、いつでも辞められる」環境を提供することで、顧客の心理的なハードルが下がります。その結果、これまで脱毛に踏み出せなかった層との接点を作りやすくなります。
一方で、脱毛完了まで継続して通う意思が明確な方にとっては、回数券や分割払いのほうが合理的な選択肢となるケースも少なくありません。1回あたりの施術単価を抑えられるだけでなく、計画的に通院できるため、途中離脱の防止にもつながります。事業者側にとっても、一定期間の来院が見込めることで、施術スケジュールや人員配置を安定させやすくなります。
「都度払い」と「回数券」のどちらか一方に寄せるのではなく、複数の選択肢を用意し、顧客自身が納得して選べる環境を整えることも重要です。都度払いで不安を取り除き、回数券で中長期の関係を築く。この役割分担を意識することが、結果として信頼と継続利用につながります。

回数券を上手に活用するためのポイント

「回数券」を取り扱う事業者に向けて、実務面で意識したいポイントや売上を最大化させるためのポイントをいくつかご紹介します。

1. 前受金を分けて管理する

前受金は通常の運転資金とは切り分け、将来の施術提供に必要な原価を常に意識した管理が重要です。資金の流れを可視化することで、使い込みを防げます。

2. 分割払いを積極的に活用する

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3. 回数券の販売比率をコントロールする

全ての顧客を回数券に誘導するのではなく、都度払いとのバランスを取ることが大切です。売上構成を意識することで、過度な前受金への依存を避けられます。

4. 契約内容と返金ルールを明確にする

回数券の有効期限や解約時の返金条件を明確に説明することで、顧客の不安を減らし、トラブルを未然に防ぐことができます。

前受金管理シートの作成方法

脱毛サロンが前受金(回数券・コース契約)を管理する際に、押さえておきたいおすすめの管理項目をご紹介します。

1.顧客情報・契約情報

  • 顧客名
  • 契約日
  • 契約番号
  • 契約内容(施術内容)
  • 有効期限

2.支払い・前受金の金額

  • 支払い日
  • 支払われた金額の合計
  • 前受金残高
  • 支払いのスケジュール

3.返金・解約処理

  • 解約金
  • 返金額
  • 精算方法

4.キャッシュフローの管理

  • 前受金の総額
  • 前受金の比率

医療脱毛は回数券をやめるべきか

「医療脱毛は回数券をやめるべきか」という問いに対して、私たちの答えは明確です。それは「リスクを理解したうえで、上手に活用すべき」ということです。前受金には確かにリスクがあります。しかし、その性質を正しく理解し、管理体制と決済手段を整えれば、回数券や分割払いは事業者・利用者双方にとって価値のある仕組みになります。
都度払いが注目される今だからこそ、回数券を一方的に否定するのではなく、それぞれのメリットを活かした提供方法を考えることが、これからの医療脱毛業界に求められているのではないでしょうか。