チャージバックとは?主な原因と仕組み、発生時の正しい対応方法
この記事は、クレジットカード決済を導入している事業者や、日常的にクレジットカードを利用している方に向けて書かれています。 「チャージバック」という言葉を聞いたことはあっても、具体的な仕組みや、なぜ発生するのかまで理解している方は多くありません。本記事では、チャージバックの基本的な考え方から、チャージバックが起こりやすい原因、事業者が注意すべきポイント、万が一発生した際の対応方法を解説します。
目次
チャージバックとは?
チャージバックとは、クレジットカードの利用者が「この支払いには覚えがない」「内容に納得できない」とカード会社へ申し立てを行った場合に、カード会社が加盟店に対して売上の取消や返金を求める仕組みです。
チャージバックが発生する理由には、不正利用や商品未着、商品不良などが挙げられます。チャージバックの制度により、消費者はクレジットカード決済を安心して利用できます。一方で事業者側は、売上が取り消される可能性があるため注意が必要です。
チャージバックの仕組み
チャージバックは、利用者がカード会社へ異議を申し立てるところから始まります。「身に覚えのない決済がある」「商品が届いていない」といった申告を受け、カード会社は取引内容の調査を行います。
調査の結果、利用者の主張に正当性があると判断された場合、カード会社から加盟店へ売上の取消や返金が求められます。加盟店側は、取引が正当であることを示す資料を提出し、反証することも可能です。ただし、証拠が十分でない場合は、売上が取り消されるケースが多くなります。
この一連の流れは、消費者保護と事業者側の権利を両立させるために設計されたものですが、事業者にとっては事前の備えが重要になります。
チャージバックが発生する原因
チャージバックが発生する背景には、いくつか共通する原因があります。中でも事業者が特に注意したいのが、「不正利用」「商品やサービスに対する認識のズレ」「解約や返金手続きに関するトラブル」の3点です。これらは、業種や規模を問わず起こり得るため、あらかじめ理解しておくことが大切です。
クレジットカードの不正利用
チャージバックの原因として最も多いのが、不正利用です。第三者にクレジットカード情報が盗まれ、カード名義人が知らないうちに決済が行われた場合、利用者はカード会社へ「身に覚えがない」と申し立てを行います。
このケースでは、利用者保護が優先されるため、事業者側に明確な落ち度がなくても、チャージバックが認められる可能性が高くなります。特に、オンライン取引や非対面決済では発生しやすく、事業者にとっては避けづらいリスクのひとつといえます。
商品やサービスに対する認識のズレ
チャージバックの次に多い要因は、商品やサービス内容に対する認識のズレです。例えば、サービス内容や料金、利用条件を十分に理解しないまま申込みを行い、後から「想像していた内容と違った」「説明が分かりにくかった」と感じた利用者が、返金を求めるケースがあります。
事業者側に悪意がなくても、表示や説明が不十分だった場合、利用者の不満がチャージバックという形で表面化することがあります。とくに定期課金やサービス提供型の商材では、事前の説明が重要になります。
解約や返金手続きに関するトラブル
解約や返金をめぐるトラブルも、チャージバックにつながりやすい原因です。「解約したはずなのに請求が続いている」「返金されると案内されたが、いつまでも処理されない」といった状況が続くと、利用者は事業者への連絡を諦め、カード会社へ直接申し立てを行うことがあります。
このようなケースでは、対応の遅れや説明不足が原因となることが多く、結果としてチャージバックが発生します。解約方法や返金時期を明確にし、問い合わせには迅速に対応することが、トラブル防止につながります。
チャージバックが起こりやすい商材
チャージバックが発生しやすい商材には、いくつか共通した特徴があります。高額な商品、換金性の高い商品、サービス提供型の商材などは、特に注意が必要です。また、デジタルコンテンツや即時提供されるサービスは、商品を回収できないためリスクが高くなります。自社の商材がどの程度のリスクを持っているのかを把握し、適切な対策を講じることが大切です。
ECサイト・オンラインサービス
デジタル商材は「商品が手元に残らない」ため、カード利用者が不正利用や未利用を理由に異議申し立てを行いやすい傾向があります。また、ダウンロードや視聴の有無を客観的に証明しづらく、事業者側が「提供した事実」を示せないケースも少なくありません。その結果、チャージバックで不利になりやすい商材といえます。
定期課金・サブスクリプション商材
サブスクリプション型の商材では、「解約したつもりだった」「いつまで請求されるかわからなかった」といった利用者の認識不足が原因でチャージバックが発生しやすくなります。特に、契約条件や解約方法の案内が不十分な場合、“理解不足による異議申し立て”が起こりやすいことが特徴です。
高額・役務提供型の商材
サービス提供型の商材は、効果や成果に対する主観的な不満からチャージバックに発展するケースが目立ちます。「説明と内容が違う」「期待した効果が得られなかった」といった理由は、カード会社側で利用者の主張が通りやすい場合もあり、事業者にとってはリスクが高くなりがちです。
チャージバック対応の流れ
ステップ1:カード利用者が異議申し立てを行う
カード利用者が、利用明細を確認した際に「身に覚えのない請求がある」「サービス内容に納得できない」と感じた場合、カード会社に連絡し、取引に対する異議申し立てを行います。
ステップ2:カード会社が調査を開始する
異議申し立てを受けたカード会社は、取引内容や利用状況を確認し、調査を開始します。この段階で、利用者保護の観点から一時的に利用者へ返金(仮返金)が行われるケースもあります。
ステップ3:加盟店(事業者)へ通知が届く
調査の過程で、カード会社または決済代行会社から加盟店へ「チャージバック発生」の通知が届きます。加盟店は、取引が正当であったことを示す資料(同意記録、利用履歴、契約書など)の提出を求められます。
ステップ4:加盟店が反証資料を提出する
加盟店は、指定された期限内に反証資料を提出します。十分な証拠を提出できれば、チャージバックが取り下げられる可能性がありますが、資料が不十分、または未提出の場合は、原則として加盟店側の負けとなります。
ステップ5:最終判断・返金確定
カード会社が最終判断を行い、結果が確定します。利用者の主張が認められた場合には、返金が確定します(加盟店負担)。一方で、加盟店側の主張が認められた場合には、チャージバック不成立となります。一度確定したチャージバックは、原則として覆すことができません。
チャージバックに備えて事業者ができること
チャージバック対策で最も重要なのは、「発生させない工夫」と「発生しても対応できる体制」を整えることです。まず見直したいのが、商品やサービスの説明です。料金、提供内容、解約条件、返金ポリシーなどは、できるだけ具体的に、誤解の余地がない表現で伝えることが求められます。
次に、利用者とのコミュニケーションも欠かせません。問い合わせやクレームに対して、迅速かつ丁寧に対応することで、カード会社への申し立てに発展する前に解決できるケースは少なくありません。「連絡が取れない」「説明がない」と感じさせないことが、結果的にチャージバック防止につながります。
また、決済時の本人確認や不正検知の仕組みを導入することも有効です。クレジットカードの不正利用は完全に防ぐことは難しいものの、リスクを下げることは可能です。決済代行会社が提供する不正対策機能を活用するのも、ひとつの選択肢です。
アルファノートのセキュリティ対策
チャージバックを未然に防ぐ対策として、アルファノートは不正利用防止に向けたセキュリティ対策を行っています。オンライン決済はEMV3Dセキュアに対応し、店舗向けの決済端末はICカードの決済に対応しています。ICカードの決済では、暗証番号(PIN)を入力するため、不正利用防止に繋がります。”チャージバックのリスクを軽減したい”とお考えの事業者は、当社までご相談ください。
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